調査に関連する修正申告であり、更正を予知したものと認定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:11/13/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 修正申告書の提出が「調査による更正を予知してされたもの」であるか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、調査職員からの国外送金に係る確認依頼があったことを発端に更正の可能性が高まったことを認識し、その認識に沿った修正申告をしているから、各修正申告は更正の可能性があるとの認識によってされたものと認められると判断、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人が提出した所得税の修正申告書に対して原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしたことをめぐって、請求人が修正申告書は調査があったことにより提出したものではないから加算税を課すことは違法であると主張して審査請求し、原処分の全部取消しを求めたもの。つまり、納税者側は各修正申告書の提出が国税通則法65条5項の「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでないとき」に当たると主張して、審査請求したという事案である。

 これに対して裁決はまず、「調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたものでない」ことの判断は、国税通則法65条5項の文言及び趣旨から、調査の内容・進捗状況、それに関する納税者の認識、修正申告に至る経緯、修正申告と調査の内容との関連性等の事情を総合考慮して行うべきであるという判断を示した上で、調査担当職員からの確認依頼を発端に各修正申告を決意したものであると指摘。

 というのも、関与税理士からの調査依頼や調査通知文書を受け取っていた事情などから、情報交換制度を利用するなどして請求人に係る国外所得に関する調査が進行中であり、更正される可能性が高まったことを認識していたということが認められるという認定からだ。結局、その認識した調査の内容と関連性を有する各修正申告を行っているのであるから、調査を受けたことを原因として更正される可能性があるとの認識によってされたものと認めることができると判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、平成24年1月24日裁決)