第二次納税義務者で主たる課税処分に対する審査請求は可能
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:01/31/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 第二次納税義務を納付告知された者が、本来の納税義務者に対する課税処分について取消請求をすることができるか否かが争われてきた裁決取消請求事件で、最高裁(才口千晴裁判長)は第二次納税義務者も不服申立てをすることができると判断、逆転判決を下した。

 この事件は、法人税の更正処分が打たれた会社から株式の譲渡を受けた上告人が、同社に対する課税処分に基づく滞納国税に係る第二次納税義務の納付告知を受けたことが発端になったもの。納付告知を受けた上告人は、納付告知後2ヵ月以内に課税処分に対する異議申立て、審査請求をしたものの、不服申立期間経過後の申立てであるという理由からいずれも却下された。

 そこで、却下の裁決を不服とした上告人が提訴、その判断をめぐって最高裁まで争われてきたわけだが、一審の藤山判決は原告の主張を認めため国側が控訴、また控訴審は国側が逆転勝訴したため今度は納税者側が上告していたという事案だ。

 これに対して最高裁は、第二次納税義務制度の趣旨に触れた上で、第二次納税義務者は主たる課税処分によって自己の権利もしくは法律上保護された利益を侵害され又は必然的に侵害される恐れがあり、その取消しによってこれを回復すべき法律上の利益を有することから、主たる課税処分に対しても不服申立てをすることができるとの解釈を示した。

 その結果、第二次納税義務者が主たる課税処分に対する不服申立てをする場合の「処分があったことを知った日」とは、その第二次納税義務者に対する告知処分(納付通知書の送達)がされた日をいい、不服申立期間の起算日は納付告知がされた日の翌日になると指摘して、審査請求を却下した裁決は取り消されるべきであると判断、再逆転判決となった。

(2006.01.19 最高裁第一小法廷判決、平成16年(行ヒ)第275号)