個別対応方式の用途区分の方法の誤りは更正の請求の対象外
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:11/22/2011  提供元:21C・TFフォーラム



 消費税の個別対応方式における用途区分の方法の誤りが更正の請求理由に当たるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、確定申告の際に採用した用途区分の方法に合理性がある場合は更正の請求理由(通法23(1)一)には該当しないと判断、棄却した。

 この事件は、調剤薬局等を営む審査請求人が消費税及び地方消費税の確定申告をめぐって、課税仕入れの都度、課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものに区分した上で、決算修正により、課税期間の末日における医薬品のみに係る課税売上げを基に課税資産の譲渡等にのみ要するものと課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分して、納付すべき消費税及び地方消費税の額を過大に算定する誤りがあったとして、更正の請求をしたのが発端となった。

 これに対して原処分庁が、更正すべき理由がない旨の通知処分を行ってきたことから、その取消しを求めて審査請求されたもの。本来なら、医薬品の課税仕入れに係る消費税額は、課税資産の譲渡等と課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等に共通して要するものに区分し、請求人の営む事業全体に係る課税売上割合を乗じて算定すべきだったわけだ(消法30)。

 これに対して裁決は、個別対応方式が適用される場合に、用途区分の方法の誤りを理由に更正の請求が認められるのは、申告当時に納税義務者が採用した用途区分の方法に合理性がなく、合理性のない用途区分の方法を採ることによって納付すべき消費税等の税額が過大となる場合で、他の合理的な用途区分の方法を採っていた場合と比較して単に納付すべき消費税等の税額が過大となる場合をいうものではないと解釈。

 しかし、請求人の用途区分の方法は、医薬品の課税仕入れに係る課税売上対応分を個別に把握可能な課税売上げに係る医薬品名及び数量又は金額を基準に売上実績に基づいて区分する方法であり、合理性があると認定するとともに、消費税等の税額の算出の計算過程に誤りがあった場合にも該当しないと指摘、結局、国税に関する法律の解釈適用の誤りがあった場合には該当しないと判断して審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、11.03.01裁決)