処分の無効を理由とした場合でも不服申立期間の遵守が原則
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:05/27/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 原処分に重大かつ明白な瑕疵があって無効な場合の異議申立てであれば不服申立期間の制限を受けないか否かが争われた事案で国税不服審判所は、処分の無効を理由とするものであっても不服申立期間は遵守しなければならないと判断、審査請求を却下・棄却した。

 この事案は、相続税の物納申請をしている審査請求人に対して所得税の還付金を相続税に充当し、さらに延滞税に係る督促をしたことに対して、その充当処分が無効であることを理由に審査請求人が、充当処分、督促処分の取消しを求めて異議申立てをしてところ、異議審理庁が充当処分に係る異議申立ては不服申立期間経過後になされたもので不適法であると判断して却下するとともに、督促処分も棄却したことから、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。

 請求人は充当処分には重大かつ明白な瑕疵があって無効であり、無効な行政処分は時間が経過しても無効のまま瑕疵が治癒されないから、そうした場合の異議申立ては不服申立期間の制限を受けない旨主張していた。

 これに対して裁決は、処分の無効を理由とした課税処分や徴収処分の取消しを求める場合でも、国税通則法上の不服申立手続に則っていることが前提になると指摘した上で、国税通則法77条1項が定める不服申立期間を遵守せずになされた異議申立ては原則として不適法という考え方を示した。適法となるのは、不服申立期間内に不服申立てをしなかったことについて天災等によるやむを得ない理由があり、かつその理由が止んだ日から7日以内に審査請求した場合に限られているからだ。結局、異議申立てにはこの止むを得ない理由があるとも認められないから不適法と判断、却下・棄却している。

(国税不服審判所、2007.01.23裁決)