売買契約の無効確認判決は後発的事由には当たらないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:08/11/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 出資口の売買契約無効確認訴訟の錯誤による無効確認判決いわゆる後発的事由を理由にした更正の請求に対して国税不服審判所は、判決によって売買契約の無効が確認され、更正の請求の要件を満たすことになったわけではないと判断、審査請求を棄却した。

この事案は、審査請求人が祖母から譲り受けた出資口に係る売買契約が低廉な譲受けに当たるとして贈与税の決定処分を受けた後、その売買契約に錯誤があったことを理由に祖母に対する売買契約無効確認訴訟を提起したところ、判決で売買契約の無効が確認されたため、後発的事由に当たることを理由に更正の請求をしたことが発端になったものだが、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していたという事案だ。請求人らはこの無効確認判決が後発的事由に基づく更正の請求の要件を満たすと主張して取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決はまず、錯誤無効を理由に贈与税の決定処分等及び通知処分に係る争訟手続を行い、外形的にも錯誤無効の主張に沿うよう出資口を祖母に戻すなどの現状回復をしていた事実等を認定。つまり、既に売買契約が無効であるという事実関係は形成されていたことになり、この無効確認判決によって初めて売買契約が無効と確認され、更正の請求の要件を満たすことになったわけではないという事実認定をしたわけだ。

 その結果、この判決が国税通則法23条2項1号の「………判決により、その事実が当該計算の基礎としたところと異なることが確定したとき」つまり後発的事由に該当するとは認められないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2008.08.04裁決)