宅配便による申告書の提出が郵便でないのは明らかと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:12/14/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 宅配便による申告書の提出も、国税通則法22条が定める郵便に該当するか否かが争われた事案で国税不服審判所は、郵便とは信書及びその他の物をあて先に送達する事業であり、国の行う事業であることから、宅配便は郵便でないと判断して審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が法人税の確定申告書の提出を宅配便によって提出したが、税務署が受理したのは申告期限の翌日になったことが発端になったもの。これに対して原処分庁が、法定申告期限後の提出と判断、確定申告書に係る無申告加算税の賦課決定処分をしてきたわけだ。

 そこで、審査請求人が原処分を不服として異議申立ての上、審査請求してその取消しを求めていたという事案だ。審査請求人は、宅配便は引取時間や配達時間が正確で、多くの企業で文書の発送手段として利用されていることを引き合いに、宅配便による確定申告書の発送は郵便による発送に相当するから、宅配便の発送日を確定申告書の提出日とみなすべきであると主張、原処分の取消しを求めていた。

 しかし裁決は、国税通則法22条が定める郵便とは信書及びその他の物をあて先に送達する事業であり、郵便事業は郵便法2条が国の行う事業と定め、5条が何人も郵便業務を業とし、国の行う郵便の業務を除いて郵便業務に従事してはならないとされていることから、運送事業者の宅配便が郵便でないことは明らかであると指摘。そうであれば、宅配便による確定申告書の提出は国税通則法が定める郵便に該当しないのは明らかであり、税務署長が受理したのは法定申告期限の翌日だったのであるから期限後申告になると判断した。


 また、期限後申告になったことに止むを得ない事情も認められないと一蹴している。

 
(国税不服審判所、2003.11.07裁決)