通則法23条2項1号の判決に当たると認定、原処分を全部取消し
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/25/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 相続税に関する更正の請求が国税通則法23条2項1号に定める判決に基づくものであるか否かの判断が争われた事案で、国税不服審判所はその判決によって請求人の申告に係る課税標準等、税額の計算の基礎となった事実と異なることが確定されたと認めるのが相当と指摘、原処分庁がした更正すべき理由がない旨の通知処分を全部取り消している。

 この事案は、相続に係る不動産売買代金債権の存否に関する判決によって相続税の課税標準等に異動があったとして更正の請求をしたところ、原処分庁がその判決は国税通則法23条2項1号が規定する「判決」にはあたらないと判断、更正すべき理由がない旨の通知処分をしてきたため、その取消しを求めていたという事案だ。

 裁決はまず、国税通則法23条2項1号の趣旨に触れ、判決に基づく更正の請求が認められるためには、判決によって課税標準等の基礎となった事実と異なることが確定されるとともに、納税者が申告時に課税標準の基礎となった事実と異なることを知らなかったことが必要と解釈。その上で、請求人は被相続人が死亡するまで会社の経営に全く関与しておらず、土地の売買契約にも全く関与していなかったと認定するとともに、請求人が申告時までに土地の売買の目的や経緯、土地の売買契約が仮装であること等を知っていたと認めるに足りる証拠はないとも認定した。

 つまり、請求人は申告時において土地の売買代金債権が存在しなかったことを知っていたとは認められないから、判決は国税通則法23条2項1項に定める判決に該当すると判断、原処分を全部取り消す裁決をくだしている。

(国税不服審判所 2007.01.23裁決)