納税者の主観的事由は後発的事由には当たらないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:06/04/2002  提供元:21C・TFフォーラム



 相続税の更正の請求をめぐって、国税通則法23条2項の規定、つまり「後発的事由が発生してから2ヵ月以内」にあたるか否かが争われていた事案で、国税不服審判所は納税者の主観的な事由をもって後発的事由に該当すると解釈することはできないと裁決、原処分の取消しを求めた納税者の審査請求を棄却した。

 この事案は、路線価による評価額に基づいた相続税の当初申告の後、無道路地であることから路線価に基づいた土地の評価額を減額すべきであるとして減額更正の請求をしたことが発端になったもの。これに対して、原処分庁が法定申告期限から1年以上が経過した後になされた更正の請求であることを理由に、更正すべき理由がない旨の通知処分をしたため、納税者が原処分の取消しを求めていたというものだ。

 審査請求人は、無道路地に誤って付された路線価に基づいて相続税の申告をしたため、納付税額が過大になったと指摘、法定申告期限から1年以上が経過していても、その誤りを知った日をもって「後発的事由」に基づく更正の請求を認めるべきであると主張した。

 これに対して裁決は、後発的事由を規定した国税通則法23条2項がその1号と2号で判決・和解・更正・決定といった外部的、客観的事由を規定し、やむを得ない理由がある時をそれに類するものとして明示していることに触れ、納税者の主観的な事由をもって後発的な事由に該当するものとして更正の請求を認めることはできないと解釈。つまり、路線価が付されていないことを知ったという請求人の主観的な事由は、通則法23条2項の「後発的事由」にはあたらないと判断、審査請求を棄却する裁決を下している。

 (国税不服審判所、2000.08.31裁決)