来署依頼状の送付も調査にあたると裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:10/22/1997  提供元:21C・TFフォーラム



 修正申告が更正を予知して行われたものでない場合、通常、過少申告加算税は課されない。修正申告書の提出がこの更正を予知してなされたものであるか否かが争われていた審査請求事案で、国税不服審判所は、来署依頼状の送付後になされた修正申告書の提出は調査があったことにより更正を予知して行われたものであると判断、審査請求を棄却した。
 この事案は、納税者が申告後、お尋ね書など来署依頼状があったことから申告書を再確認した結果、申告漏れに気づいたため修正申告書を提出したところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定をしたため、その取消しを求めて審査請求されていたもの。つまり、来署依頼状の送付が、過少申告加算税の非課税要件等を定めた国税通則法65条5項の「調査」にあたるか否かが争点になっていたわけだ。
 当然、請求人は課税庁の内部調査は含まれず、申告後の臨場調査や面接調査等、外部から具体的に認識できるものが調査にあたると主張。これに対して、審判所は課税庁が行う課税標準や税額を認定するまでの一連の判断過程の一切を含み、証拠書類の収集、証拠の評価、課税要件事実の認定、法令の解釈適用を経て更正処分に至るまでの思考や判断を含む極めて包括的な概念であると指摘。そのため、申告書を検討して過少申告を把握、その内容を納税者に連絡したような場合は「調査があったこと」に該当すると解釈した。
 来署依頼状やお尋ね書等も調査の範囲にあたると一つの判断基準が示されたわけだが、今後の執行の対応を考えると、納税者にとっては少々厳しすぎる裁決ともいえる。
 (国税不服審判所、1996.9.30裁決)