法定納期限後の源泉税納付にやむを得ない事情を認定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:02/04/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 非居住者になった賃貸人に支払った店舗等の賃借料に係る源泉所得税の納付が法定納期限後になったことについて、納税者の責に帰さないやむを得ない事情があったか否かの判断が争われた事件で、国税不服審判所は、真に納税者の責めに帰することのできない客観的事情があったと認定して、原処分を全部取り消した。

 この事件は、審査請求人が賃貸人に支払った店舗等の賃借料をめぐって、賃貸人が非居住者となった日以後に支払った賃借料は国内源泉所得に該当するとして源泉所得税を法定納期限後に納付したのが発端。しかし原処分庁が、不納付加算税の賦課決定処分等をしてきたため、請求人が法定納期限までに納付しなかったのはやむを得ない事情によるものであると主張、その全部取消しを求めて審査請求したという事案である。

 原処分庁は、請求人には店舗等の賃借料の支払いの都度、賃貸人が居住者か非居住者かを確認する義務があり、単にその確認を怠ったものであるから、国税通則法67条1項ただし書きが定める「正当な理由があると認められる場合」には当たらない旨反論して、審査請求の棄却を求めた。

 これに対して裁決は、不動産の賃貸借等において、賃借料の支払いの都度、居住者・非居住者の別を確認することを義務付けた明文の規定はなく、また賃貸人等との接触をほとんど要しない取引にそのような煩雑な手続きを採ることを必要とするのは合理的でないと指摘。

 その上で、店舗等の賃貸借に係る取引において、賃貸人が非居住者になったことを直ちに知り得る状況になかったことが認められ、源泉所得税の納付が法定納期限後となった原因は、賃貸人からの連絡が遅れたためであると認められるから、請求人には、真に納税者の責めに帰することのできない客観的な事情があったというべきであり、源泉所得税を法定納期限までに納付しなかったことについて「正当な理由があると認められる場合」に該当するとするのが相当であると判断、原処分を全部取り消している。

(国税不服審判所、2013.05.21裁決)