当事者間の権利関係を争う判決でなければ更正の請求は不可
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:10/18/2005  提供元:21C・TFフォーラム



 判決で土地譲渡の無効が確認されたことを理由に行った更正の請求の可否が争われた事案で、国税不服審判所は判決が土地譲渡の当事者間の法律関係に何ら影響を及ぼさない以上、国税通則法23条に定める判決には当たらないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、被相続人が土地の譲渡に係る申告をしたのみで譲渡所得税を納付することなく死亡したため、原処分庁が相続人(審査請求人)らに承継した納税義務に係る税額の納付を求める通知処分をしたのが発端。これに対して、審査請求人は譲渡所得金額も譲渡所得税も被相続人の申告額を大幅に下回るとして減額更正の請求をした。そこで、原処分庁が更正すべき理由がない旨の通知をしたため、その取消しを求めたという事案だ。

 というのも、滞納国税を徴収するためにされた差押処分と参加差押処分の適否に関する審査請求人と原処分庁との間で争われた訴訟で、判決が被相続人の土地譲渡に係る申告は無効、その土地以外の土地譲渡に係る申告は有効と判断して確定したため、請求人らは被相続人が行った土地譲渡の申告は減額できると判断、確定判決を理由に更正の請求をしたわけだ。

 しかし裁決は、国税通則法23条が定める更正の請求が認められる判決は、当事者間に権利関係の争いがあり、その後、判決によって申告等が行われた時の権利関係と異なる事実関係が生じた場合の判決を指すと解釈。その解釈にそって審査請求事案をみると、土地譲渡の有効性は既に和解によって解決が図られており、判決の中で土地譲渡の無効が確認されたとしても、そのことが当事者間の法律関係に何ら影響を及ぼしていない以上、国税通則法23条に定める判決には当たらないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2004..10.29裁決)