異議申立ての期間徒過を理由に原処分の取消請求を棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:03/12/2014  提供元:21C・TFフォーラム



 法人税及び消費税等の修正申告に対する重加算税の賦課決定処分等、それに伴う租税債権確保のための不動産に対する差押処分の適否が争われた事件で、福岡地裁(永井裕之裁判長)は、不服申立等の前置つまり異議申立てが期間内に適正にされていないことを理由に賦課決定処分の取消しを求めることは不適法と却下するとともに、差押処分もその要件を満たしていることから適法と判示して、法人側の請求を却下、棄却した。

 この事件は、法人が行った法人税及び消費税等の申告に対して、原処分庁が税務調査の結果を踏まえて修正申告を促したのが発端。しかし原処分庁は、修正申告書の提出後、重加算税の賦課決定処分等をするとともに、その1年後、不動産の差押処分をしてきたわけだ。そこで、法人側が異議申立て、不服申立てをしたところ、差押処分は棄却、その余の請求は却下されたため、提訴して更に取消しを求めてきた事案である。

 争点は、賦課決定処分等に対する適法な異議申立てがされたか、賦課決定処分及び差押処分の適否の2点であるが、法人側は異議申立てを書面でしなければならないのを知ったのは異議申立てを口頭でした日であるから期間を徒過していない、賦課決定処分が違法であるからそれに伴う差押処分も当然に違法である、と主張して原処分の取消しを求めた。

 これに対して判決はまず、口頭による異議申立てを適法な異議申立てと解することはできず、処分があったことを知った日とは字義どおり異議申立ての対象となるべき処分の存在を知った日であると判示。しかし、異議申立てがされた時点はもとより、電話で異議申立書の受理を求めたと主張する時点も、不服申立期間を経過しているため、やむを得ない事情も認められないと認定した。

 また、差押処分がされた時点でその要件を満たしているから差押処分も適法であるとは判示、結果的に賦課決定処分等の取消請求は却下、差押処分の取消請求は棄却する旨の判決が言い渡されている。

(2013.03.12 福岡地裁判決、平成24年(行ウ)第50号)