住所の移転は通知書の送達回避が目的と認定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:10/20/1998  提供元:21C・TFフォーラム



 住所移転後の翌日に送達された贈与税にかかる決定処分等の通知書の効力の有無が争われていた事案で、国税不服審判所は住所の移転等は通知書の送達を回避することを意図してなされたものであると認定、納税者の主張を棄却した。
 この事案は、贈与税の無申告にかかる決定等の除斥期間が満了する間際に原処分庁が賦課決定処分等の通知書を送達したものの、納税者はそれが送達される前日に住所を異動していたことから送達は無効であると主張、その取消しを求めていたもの。
 いわゆる決定通知書等の差置送達の効力の是非が争われていたというわけだが、通常、賦課決定処分等はその通知書が送達されたことで効力が発生することになる。そこで請求人は、決定処分等の通知書の送達を受けたのは住所の移転後2日目、つまり除斥期間経過後のことであるから、決定処分等は無効であると主張していた。
 しかしながら裁決は、請求人が住民票を異動したり、郵便受箱を撤去した行為は、通知書の送達を回避することを意図してなされたものであると認定した上で、請求人の住所は旧住所にあると認めるのが相当であると判断した。また、通知書が透明のビニール袋に入れて密封するとともに、門柱に張り付ける方法で送達されていることからみても、請求人が知り得る状態に置かれたものとみるのが相当であり、差置送達の時点をもって決定等の効力が生じたものと判断して、納税者の主張を棄却している。納税者の主張に意図的なものが伺えるが、決定通知が何故こんなに遅れたのかという疑問も残る裁決といえる。
(国税不服審判所、1997.10.15裁決)