税法の不知は請求人の事情に基づくものと指摘、請求を棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:04/06/2010  提供元:21C・TFフォーラム



 法人税基本通達の但書きが適用されると誤解して行った申告後の修正申告に過少申告加算税の賦課決定処分がされた事案には、国税通則法の「正当な理由」があると主張してその取消しを求めたものの、国税不服審判所は税法の不知や法令解釈の誤解は請求人自身に基づくものであるから正当な理由は認められないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、請求人が民法上の組合を通じて取得した新株予約権の取得に係る利益を益金に算入せずに申告をした後、その利益は益金に算入すべきであるとの原処分庁からの指摘を受けて修正申告をしたところ、原処分庁が過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、国税通則法65条4項の正当な理由があると主張してその取消しを求めた事案だ。

 任意組合の組合員である請求人は、新株予約権の取得に伴う利益は組合事業から生ずる利益の分配であるから、法人税基本通達14-1-1の2の但書きの適用があるとして組合の計算期間が終了する事業年度の益金として申告すればよいと理解したものであって、それを単に納税者が税法等の解釈を誤ったものとみることは酷であり、社会通念に照らしても相当といえる理解であると主張、原処分の取消しを求めていたわけだ。

 これに対して裁決は、新株予約権の取得に係る利益は請求人に帰属する固有の利益であり、組合からの分配を経由しない利益として法人税法22条2項に基づき益金に算入すべであるから、法人税基本通達14-1-1の2が定める組合事業に関する利益金額又は損失金額のうち分配割合に応じて利益を受けるべき金額又は損失の負担をすべき金額つまり帰属損益額に該当するものではないから、但書きが適用される余地はないと指摘。結局、請求人の理解は税法の不知や法令解釈の誤解など請求人自身の事情に基づくものであるから、正当な理由があるとは認められないと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2009.07.24裁決)