調査結果の説明の瑕疵を理由にした原処分の取消請求を棄却
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:01/12/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 調査結果の説明の瑕疵が、原処分の取消事由に当たるか否かの判断が争われた事件で国税不服審判所は、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続きの違法は課税処分の取消事由とはならないと解釈した上で、審査請求を棄却した。

 この事件は、審査請求人ら3人が、相続により取得した土地を広大地に該当するとして相続税の申告をしたのが発端。しかし原処分庁が広大地には該当しないと否認して、相続税の更正処分等をしてきたため、請求人らが広大地に該当し、また調査手続にも違法があると主張して、原処分の全部取消しを求めて審査請求した事案である。

 つまり相続税の調査には、国税通則法74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)1項が定める事前通知及び同法74条の11(調査の終了の際の手続)2項が定める調査結果の説明がなされていないという違法があるから、原処分は取り消されるべきである旨主張したわけだ。

 しかし裁決は、調査の担当職員の答述及びこれを裏付ける原処分の関係資料によれば、事前通知は担当職員によって適法になされていたと認定。また、調査手続の違法が課税処分の取消事由となるのは、課税処分の基礎となる調査を全く欠く場合のほか、課税処分の基礎となる証拠資料の収集手続に重大な違法があって調査を全く欠くのに等しいとの評価を受ける場合に限られると指摘した上で、証拠収集手続に影響を及ぼさない他の手続きの違法は課税処分の取消事由とはならないとも解釈した。

 結局、証拠収集手続に違法があるとは認められないことから、証拠収集手続に影響を及ぼさない手続きである調査結果の説明に瑕疵があったとしても、原処分の取消事由とはなり得ないと判断して、請求人らの主張を棄却している。

(国税不服審判所2015.05.26裁決)