請求人と税理士間に隠ぺい・仮装に係る意思の疎通を認定
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:09/05/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 納税者と税理士の間に税額計算等の基礎事実を隠ぺい・仮装することの意思の疎通があったことを理由に、重加算税の賦課決定処分が課されたことの適否が争われた事件で、国税不服審判所も隠ぺい・仮装の意思の連絡があったことを認定、審査請求を棄却した。

 この事案は、航空貨物運送に関する運賃の清算業務等を行う法人が、申告の際に業務に係る経費を繰上計上したことが事実の隠ぺい・仮装に該当するとしてなされた重加算税の賦課決定処分、また請求人の行う業務が輸出免税取引に該当しないとしてなされた消費税等の更正処分、過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求めて争われたもの。

重加算税の賦課決定処分はある外国航空会社の国内支店向けの支払運賃の繰上計上、割戻料を繰り延べたことが事実の隠ぺい・仮装に該当するか否か、さらにその隠ぺい・仮装したことに納税者と税理士との間に意思の疎通があったか否かの事実認定が争点になっていた。

 原処分庁は関与税理士から連絡を受けた所得金額を基に、申告金額の目安を税理士に伝え、具体的な操作内容については税理士に任せていたことから、税理士と請求人間の意思の疎通の存在を主張していた。当然、請求人は証憑書類を改ざんするなど隠ぺい・仮装の事実はなかったと反論、過少申告加算税相当額を超える分の取消しを求めていたわけだ。

 裁決はまず、支払運賃、割戻料に関する事実を確認するとともに、請求人の代表取締役と関与税理士の申述内容を精査した上で、代表取締役から所得金額の操作を依頼された関与税理士が収益の隠ぺい、経費の繰上計上をし、支払運賃・割戻料に係る事実を隠ぺい・仮装することに意思の連絡があったと判断、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2005.09.08裁決)