分割納付中の充当処分・委託納付に違法性はないと裁決
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:11/07/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 滞納国税を分割納付してい最中に、法人税と消費税の還付金をその滞納分に充当し、委託納付したことが権利の濫用に当たるか否かが争われた事案で、国税不服審判所は滞納国税について還付金等の充当を制限する旨の法律上の規定はなく、原処分庁が還付金を滞納国税に充当したことに権利の濫用は認められないと判断して、審査請求を棄却した。

 この事案は、源泉所得税と消費税を滞納していた審査請求人が原処分庁に対して法人税と消費税の還付請求の申告を行ったのが発端。ところが、原処分庁はこの還付金と還付加算金を国税通則法57条1項(充当)に基づいて、法人税に係る還付金を請求人が抱えていた滞納国税に充当する一方、その残金と消費税に係る還付金を滞納国税に委託納付する旨を請求人に通知してきた。

 そこで、この充当処分と委託納付に不満を感じた請求人がその取消しを求めて審査請求していたという事案だ。請求人は、滞納国税の納付のために国税通則法55条(納付委託)に基づき約束手形1葉を納付委託するとともに、納付誓約書に基づいて毎月分割納付している最中であるにもかかわらず、原処分庁が一方的に充当処分、委託納付を行ったのは権利の濫用に当たると主張していた。

 これに対して裁決はまず、充当処分は国税通則法57条1項に基づくもので、還付金等を納付すべき国税に充当させることを税務署長に義務付けているものであり、還付金等の充当を制限する旨の法律上の規定はなく、原処分庁が権利を濫用したとは認められないと指摘。また、委託納付についても、納付委託の効果は法律上擬制される納税者自らの委託に基づくものであり、税務署長等による公権力の行使によるものではないから、国税に関する法律に基づく処分には該当しないと判断して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2005.09.21裁決)