法人税の判決を基とした所得税の更正の請求を否認
カテゴリ:08.国税通則法 裁決・判例
作成日:05/11/2000  提供元:21C・TFフォーラム



 判決を理由とした更正の請求の適否をめぐって、その判決が更正の請求が認められる場合の判決にあたるか否かが争われていた事案で、国税不服審判所は国税通則法23条2項1号に規定する判決には当たらないと判断、請求人の主張を斥ける裁決をした。

 この事案は、仲介手数料を支払った会社の常務取締役が支払先からその一部を謝礼として受領した金額を雑所得として申告したものの、税務署が同社の法人税の計算に際して常務取締役に対する謝礼金に相当する金額の損金算入を否認、更正処分したのが発端になったもの。そこで、この法人税の更正処分の取消しを求めた訴訟で謝礼金が同社に帰属すると判示されたことを受けて、二重課税の状態の解消を目的に更正の請求をしたものの、更正すべき理由がない旨の通知処分を受けたことから、その取消しを求めて審査請求をしていたという事案だ。しかし、原処分庁は判決があくまで法人税の更正処分の適否について判断されたものであり、請求人の申告に係る判断が示されたものではないから、同判決を更正の請求の理由とすることはできないとして請求人の主張を斥けていた。

 これに対して、裁決はまず更正の請求が期限を徒過した後にされた更正の請求であることは明らかと指摘する一方、判決は法人税の更正処分等取消請求事件についてされたものであり、請求人の申告内容を左右するものではないと認定。また、謝礼金が会社に帰属することを前提とした借用証を作成しながらも、その後、同収入が請求人のものであるとした申告書等を法人税の更正処分がされた後に提出していることから、そもそも国税通則法23条2項2号に基づく更正の請求は行い得ないと指摘して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、1999..1.18裁決)