不適正な会計処理の事例集を公表~証券取引等監視委
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:09/11/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 証券取引等監視委員会(佐渡賢一委員長)は、開示検査で確認された不適正な会計処理等の概要を「金融商品取引法における課徴金事例集~開示規制違反編~」として公表した。「開示規制違反の手法の傾向」や「開示書類の虚偽記載に関する個別事例(18)」などを紹介している。それによると、有価証券報告書等の虚偽記載について、最近の開示検査で把握された主な事案は以下の3つ。



1)

代表者等の会社幹部が自ら主導するなどして不適正な会計処理が行われていたケース

 例えば、代表者による売上業績に過度に重きを置く経営方針の下、売上至上主義が社内に蔓延し、管理部門が適切な役割やチェック機能を果たさないまま営業部門において売上の過大計上が行われ、さらに、他の役員等は不適正な会計処理を黙認など【事例16】。


2)

海外子会社等において不適正な会計処理が行われ連結財務諸表に影響が及ぶケース

 例えば、海外子会社において、適切な貸倒引当基準や在庫評価基準が作成されておらず、売掛債権に係る貸倒引当金や貸倒損失、棚卸資産に係る引当金を過少に計上【事例5】。



3)

資産の評価が適切に行われていないケース

 例えば、在外連結子会社が保有する複数の未上場株式について、IFRSに基づく公正価値評価損益を連結売上高に計上していたが、未上場株式のうち一部の銘柄を、マルチプル法(類似企業比較法)を用いて評価するに当たり、類似企業の範囲を不合理に広く解釈した企業選定を行ったことにより公正価値評価益が過大となり、連結売上高に課題に計上【自発的訂正1】

 監視委は「できるだけ不適正な会計処理等が行われた原因・背景を記載するよう務めており、企業関係者や会計監査人におかれては、本書の具体的事例を参考とし、適正なディスクロージャーの確保」に努めてほしい旨、訴えている。

 詳細は、こちらを参照のこと。