繰延税金の回収可能性の新たな取扱いを公表へ~ASBJ
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:05/22/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)は近く、「繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針(案)」を公表する。5月15日開催の第311回ASBJにおいて公表議決した。

 同案は、従来の日本公認会計士協会・監査委員会報告第66号における企業の分類に応じた取扱い、すなわち企業を5つに分類し、当該分類に応じて繰延税金資産の計上額を見積る方法を踏襲した上で、定めの一部を見直し。そのポイントは次のとおりである。


1)

各分類の要件に該当しない場合、各分類に示された要件からの乖離度合いが最も小さいと判断されるものに必ず分類する。
 

2)

(分類2)および(分類3)に係る分類の要件について、会計上の利益から「課税所得」に変更。
 

3)

(分類2)に該当する企業において、一部のスケジューリング不能な将来減算一時差異について繰延税金資産の回収可能性があるものとする。
 

4)

(分類3)に該当する企業において、5年を超える見積可能期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産が回収可能であることを合理的に説明できる場合には回収可能性があるものとする。
 

5)

(分類4)の要件に該当する企業であっても、「将来において5年超にわたり一時差異等加減算前課税所得が安定的に生じることが合理的に説明できる場合には(分類2)」、「将来においておおむね3年から5年程度は、一時差異等加減算前課税所得が生じることが合理的に説明できる場合には(分類3)」に該当するものとして取り扱う。
 

 適用は、平成28年4月1日以後開始する連結会計年度および事業年度の期首から。ただし、早期適用も可。遡及適用は認めない。適用初年度は、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱う。