繰税資産の回収可能性、第66号を踏襲しつつフローの事象に焦点
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:01/09/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 繰延税金資産の回収可能性ルール(日本公認会計士協会・監査委員会報告第66号)の見直しを検討している企業会計基準委員会(ASBJ、小野行雄委員長)。3月にも公開草案をまとめる構えだ。

 これまでの議論では、第66号における例示区分(会社の過去の業績等の状況を主な判断基準として会社を5タイプに分類)をベースに一部の規定を修正することで大筋合意。直近の昨年12月25日開催の「第12回税効果会計専門委員会」では、当該修正への対応策として、「第66号を踏襲し、例示区分に該当する要件に基づいて分類する」アプローチ(アプローチ2)を採用することで意見の一致をみた。

 例示区分の要件の設定に当たっては、フローの事象(課税所得)に焦点を当てて区分している場合(1~3号)と重要な繰越欠損金の存在などストックの事象に焦点を当てて区分している場合(4号)とが混在しているとの指摘に対応。「判断の連続性を保つ観点から原則としてフローの事象に焦点を当てる」。そこで、例示区分4号(ただし書き)について、次の文案が提示された。

 「重要な税務上の欠損金の発生原因、中長期計画、当期及び過去の課税所得の推移を勘案として将来の課税所得を見積った場合、期末における将来減算一時差異を下回るものの安定した課税所得を将来的に継続して計上することが見込まれていることを合理的に説明できる場合を例示区分2号とする」。

 現行規定では欠損金の存在により例示区分4号と判断されていた会社が、今後、例示区分2号に該当するものと判断される可能性もある。