不正を見逃さない会計監査上の留意点」示す~日本監査役協
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:10/07/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 (公社)日本監査役協会は9月29日付で「監査役の会計監査と監査役スタッフの役割~会計不祥事の防止に向けた実効性のある監査とは~」(関西支部監査役スタッフ研究会)を公表した。同報告書は、主に「近年発生した会計不祥事の概要を紹介し、その類型化について、会社本体の不祥事か、子会社による不祥事かに分けて」事例を論述。「不正会計を見逃さない会計監査上の留意点」をそれぞれ次の様にまとめている。

<自社>
1)工事進行基準や減損処理等見積りによる会計は、恣意性があり不正が起こり易いという認識を持つ必要がある。客観的なエビデンス(業者見積り、固定資産評価額等)を確認するとともに、将来見通しの妥当性検証、前期比較や計画との差異分析、現地確認等も必要。
2)有償支給やセール&リースバック取引等、特殊な会計処理に関しては、それぞれの会計基準を正しく理解しておく。一般的な収益、費用の計上時期に関しても、期中にサンプルチェック(検収処理等)を行うことは牽制の意味で有効。
3)月次決算の推移、計画との差異分析等、モニタリングにより異常値が見えてくる。

<子会社>
1)黒字であるが営業キャッシュフローの赤字が連続している場合は要注意。会計上は利益を計上していても、お金が足りない状況が続いている財務面のリスクとして認識が必要。
2)バランスシートから見る。貸借対照表を前期比較だけでなく、5期間分析等で見てみると、売上債権や棚卸資産、無形固定資産等を膨らませている場合、異常値が見えてくる。
3)監査法人の監査報告があるからといって過信は出来ない(海外市場に上場していた子会社でも不正会計が複数、現実に起こっている)。

 詳細は、こちらを参照のこと。