監査報酬は増加傾向、監査人の交代後は減少傾向
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 トピック
作成日:04/15/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 「2016年版上場企業監査人・監査報酬実態調査報告書」が4月13日付で日本公認会計士協会(JICPA、森公高会長)から公表された。2014年度(2014年4月期決算から2015年3月期決算までの1年間)を対象に上場企業3559社の監査報酬等を有価証券報告書から実態分析している。

 それによると、上場3559社の報酬の平均は61.38百万円、最大は4258.00百万円、中央値は30.00百万円、最少は5.00百万円。ただ、これには監査報酬額が非常に大きいアメリカ証券取引委員会(SEC)登録企業等29社(平均は1008.61百万円、中央値は531.00百万円、トップ3の三菱UFJFGは4258百万円、みずほFGは3732百万円、三井住友FGは3331百万円)が含まれている。そこで、SEC登録企業等以外の3530社をみると、平均は53.60百万円、最大は2021.00百万円、中央値は30.00百万円、最少は5.00百万円だった。

 3530社のうち前年度の監査報酬データがある3455社について、監査報酬増加企業は1013社(29.32%)であるのに対して減少企業数は831社(24.05%)、監査報酬は平均1.81%増加(増加企業の平均増加率は12.69%、減少企業の平均減少率は7.93%)していることが確認された。前年度に引き続き、監査報酬の増加が明らかになった。

 なお、同報告書は、2008年から2015年に生じた監査人交代事例を基に、交代後の監査報酬の動向も明らかにしている。「交代後に監査報酬は減少する場合が多いこと、その傾向は、交代後に売上高や子会社数が減少した場合、並びに、監査人が3大監査法人(あずさ、新日本、トーマツ)から3大監査法人以外の監査法人に後退した場合」に確かめられたという。監査事務所の「強制的交代制度を導入した場合、目論見どおりに監査報酬が増加するとは限らないことが示された」とも付言している。

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