金融庁、監査法人の改革策を公表~法人ローテーションは未定
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 トピック
作成日:03/14/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 東芝の不適切会計問題を始めとする最近の不正会計事案等を踏まえ、昨年10月、金融庁に設置された「会計監査の在り方に関する懇談会」。3月8日には、4回に亘る議論を総括した提言書「会計監査の信頼性確保のために」を公表した。信頼性確保のための取組みを5つの柱に整理、その具体的な施策を以下のように挙げている。

1) 監査法人のマネジメントの強化:
ア.監査法人のガバナンス・コード 
イ.大手上場会社等の監査を担える監査法人を増やす環境整備

2) 会計監査に関する情報の株主等への提供の充実:
ア.企業による会計監査に関する開示の充実 
イ.会計監査の内容等に関する情報提供の充実

3) 企業不正を見抜く力の向上:
ア.会計士個人の力量の向上と組織としての職業的懐疑心の発揮 
イ.不正リスクに着眼した監査の実施

4) 「第三者の眼」による会計監査の品質のチェック:
ア.監査法人の独立性の確保 
イ.当局の検査・監督態勢の強化 
ウ.日本公認会計士協会の自主規制機能の強化

5) 高品質な会計監査を実施するための環境の整備:
ア.企業の会計監査に関するガバナンスの強化 
イ.実効的な内部統制の確保 
ウ.監査におけるITの活用 
エ.その他

 懇談会の設置以降、その導入の是非が関心を呼んでいた「監査法人のローテーション制度」。提言書は、「我が国においても有効な選択肢の一つである」と記す一方、「監査人の知識・経験の蓄積が中断されることにより監査品質が低下するおそれがある、あるいは、大手監査法人の数が限られている監査市場の現状を踏まえると、当該制度の円滑な導入・実施は現時点では困難であるとの指摘もある」と両論併記にしている。「諸外国の最近の動向も踏まえつつ、~導入に伴うメリット・デメリットや、制度を導入した際に実効性を確保するための方策等について、金融庁において、深度ある調査・分析がなされるべき」と結論を先送りした。

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