監査法人の異動、JASDAQ上場企業が5割を占める
カテゴリ:09.企業財務, 13.会計士・税理士業界 トピック
作成日:08/18/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 2015年(7月末まで)に監査法人が異動した上場企業60社の株式上場市場は、「東証JASDAQ」が30社で最も多かったことが、帝国データバンクがこのほど発表した「上場企業の監査法人異動調査」結果で分かった。以下、「東証1部」(11社)、「東証マザーズ」(8社)、「東証2部」(6社)と続いた。東京証券取引所の市場に上場する企業は57社(構成比95%)を占め、それ以外は、名証2部、札幌、福岡が各1社となった。

 60社について退任した監査法人をみると、「有限責任監査法人トーマツ」が17社で最も多く、以下、「新日本有限責任監査法人」、「清和監査法人」(各7社)、「三優監査法人」(3社)と続いた。なお、「清和監査法人」、「監査法人セントラル」、「九段監査法人」、「有限責任クロスティア監査法人」については、金融庁から“運営が著しく不当である”として処分を受けている。

 また、60社に新たに就任した監査法人をみると、「新日本有限責任監査法人」が12社で最多、以下、「有限責任あずさ監査法人」が6社、「有限責任監査法人トーマツ」が5社、「あらた監査法人」、「仰星監査法人」、「太陽有限責任監査法人」、「東陽監査法人」、「優成監査法人」が各3社で続き、2014年以降に金融庁より処分を受けた監査法人は「有限責任監査法人トーマツ」のみとなった。

 60社について、監査法人が異動した理由は、「任期満了」によるものが54社(構成比90%)で最多。この54社のうち13社は、任期満了とともに親会社、子会社などのグループ会社と監査法人を統一させることを目的としている。それ以外では、「今後の監査対応等について協議した結果、監査契約を合意解除」が3社、「監査法人の合併」、「監査の継続が困難との報告(監査法人側の事情)」、「監査法人より退任申し入れ」が各1社となった。

 上場企業の不適切会計問題は後を絶たず、公表されている財務諸表への不信感が高まっているなか、株価の乱高下など不可解な動きを見せる上場企業とその企業と契約を結んでいる監査法人の動向に注目が集まっている。帝国データバンクは、「監査法人から監査を断られるケースや合意解除の場合は、企業が何らかの問題を抱えている可能性もあるため、動向を注視する必要がある」とコメントしている。

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