被監査会社との意見の相違は「固定資産の減損」が最多~JICPA
カテゴリ:13.会計士・税理士業界 トピック
作成日:06/03/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 日本公認会計士協会(JICPA、森公高会長)は5月30日付で「不正な財務報告及び監査の過程における被監査会社との意見の相違に関する実態調査報告書」を公表した。平成26年4月期から27年3月期の1年間に上場企業の監査責任者として関与した公認会計士713人の回答を分析している(アンケート期間:27年10月19日~11月9日)。

 報告書の柱は、1)不正な財務報告に関する全般的質問、2)「不正による重要な虚偽の表示を示唆する状況」を識別した個別事案に関する質問、3)「被監査会社(の経営者)との意見の相違」に関する全般的質問、4)「監査の過程における意見の相違」に関する個別事案に関する質問。

 このうち、3)「意見の不一致が特に起きやすいと考えられる項目」(複数回答)を見ると、最も多い回答は、「固定資産(のれんを含む)の減損」(73.9%)。次いで、「税効果会計の適用」(47.0%)、「債権の回収可能性、貸倒引当金の見積り」(34.2%)、「(工事)進行基準の適用(契約(工事)に係る損失引当金の計上を含む)」(23.6%)と続く。いずれも「見積りや判断を要する項目」だ。

 併せて、「意見の不一致を生じにくくするための提言」をみると、例えば、「監査人の権限強化や制度、監査法人の在り方」に対しては、次の言及があった。イ)監査人交代の脅威という圧力から監査人が守られるよう、安易な監査人交代をしにくくする施策が望まれる。例えば、交代する際の適切性を規制当局が評価する制度や、共同監査の利用など。ロ)監査報酬の決定権が被監査会社にある限り、監査人による不正調査は限定的にならざるを得ない側面があるため、監査報酬を第三者機関で承認する。ハ)被監査会社との監査契約については、監査法人内で監査チームから独立した者が協議する体制にする。

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