非上場株の評価通達改正が他通達に飛び火?
カテゴリ:01.法人税, 02.所得税, 04.資産税 トピック
作成日:05/23/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 非上場株式の評価で「株式保有割合25%以上」とする大会社の判定基準が合理的でないとする東京高裁判決を受け、国税庁がこの25%ルールを定めた財産評価基本通達189の改正作業に追われている。「50%以上」とする改正案へのパブリックコメント募集も今月頭に締め切られ、早ければ5月末にも公表される見通しだが、ここへきて一部で関心が寄せられているのが他の税務取扱いへの影響。所得税と法人税で同通達を準用している取扱いがあるためだ。

 個人が法人に無償または著しく低い価額の対価で株式を譲渡した場合は、時価による譲渡があったものとみなされ、譲渡した人に譲渡所得税が課税される(所得税法59条)。

 時価が明確な資産であれば問題ないのだが、非上場株式の場合などはどう評価したらよいのかという問題が生じる。この点、所得税法基本通達23~35共-9(4)ニでは「純資産価額を斟酌して通常取引されると認められる価額」と規定しており、この「純資産価額を斟酌して通常取引されると認められる価額」について所得税法基本通達59-6では、一定条件を前提に「財産評価基本通達178から189-7まで(取引相場のない株式の評価)の例により算定した価額」としている。まさに現在見直しが行われている部分だ。

 法人税でも、資産の評価替えをする際の「時価」を規定する基本通達9-1-14に、所得税と同様、財産評価基本通達の「例による」との記述があり、今回の財産評価基本通達の見直しがこれら他の通達にどう影響するかにも関心が寄せられている。

 財産評価基本通達189(特定の評価会社の株式)の見直しに関するパブリックコメントは5月1日に締め切られており、現在「取りまとめ中」(国税庁)。改正通達早ければ5月末、遅くても7月には出される見通しだ。