剰余金の配当における経過的な算出方法
カテゴリ:04.資産税 トピック
作成日:08/02/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁はこのほど、会社法の施行及び法人税法関係法令の改正に伴う取引相場のない株式の評価における経過的な算出方法を明らかにした。「剰余金の配当」については、会社法では、各事業年度の決算で確定した「利益の処分」による配当という従来の考え方ではなく、定時・臨時にかかわらず、株主総会の決議があれば、事業年度中、何回でも「剰余金の配当」として株主に配当することが可能になった。

 また、「剰余金の配当」の原資は利益に限られておらず、資本金や資本準備金の減少によって生じた剰余金(その他資本剰余金)を原資とするものも含まれる。この改正は、平成18年5月1日以後に配当の支払決議がされたもの(同年4月30日以前の決算期に係る「利益の配当」を除く)について適用される。

 一方、類似業種比準方式を適用する際の評価会社の「1株当たりの配当金額」は、財産評価基本通達183の(1)により、「直前期末以前2年間における利益の年配当金額」を基に計算している。

 この場合、1)直前期末が平成18年5月1日以後の場合に、同日以後に支払決議された配当(「剰余金の配当」)について、いつの時点で配当として計上すべきか(各事業年度の決算で確定した「利益の処分」による配当ではないため)、2)その他資本剰余金を原資とした「剰余金の配当」をどのように取り扱うべきか(旧商法における「利益の配当」でない(資本の払い戻しである)ため)、といった疑義が生じる。

 そこで、平成18年中に相続、遺贈または贈与により取得した取引相場のない株式の評価に当たって、類似業種比準方式を適用する際の評価会社の「1株当たりの配当金額」の計算の基となる年配当金額を、1)直前期末が平成18年4月30日以前の場合と2)直前期末が平成18年5月1日以後の場合に分けて示し、経過的な算出方法を明らかにしている。

 1)の場合の直前期の年配当金額は、直前期における利益の配当金額、直前々期の年配当金額は直前々期における利益の配当金額となる。また、2)の場合の直前期の年配当金額は、直前々期に係る定時株主総会の日の翌日から、直前期に係る定時株主総会の日までの間に配当の決議がされた配当金額の合計額(その他資本剰余金を原資とする金額を除く)、直前々期の年配当金額は、直前々期における利益の配当金額となる。