匿名組合の最終分配金額は評基通上の経常的利益と判断
カテゴリ:04.資産税 裁決・判例
作成日:05/12/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 株式の評価をめぐって、匿名組合への出資に係る最終分配金額が類似業種比準方式上の「評価会社の1株当たりの年利益金額」に含まれるか否かの判断が争われた事案で国税不服審判所は、最終分配金額は非経常的な利益ではないから法人税の課税所得金額から控除すべき金額には当たらないと判断、審査請求を棄却した。

 この事案は、審査請求人が贈与によって取得した株式の評価に対して、原処分庁が評価会社の匿名組合への出資に係る最終分配金額は経常的利益であるから評価通達が定める類似業種比準方式上の「評価会社の1株当たりの年利益金額」に含まれるとして贈与税の決定処分等をしてきたため、その取消しを求めて審査請求していたもの。つまり審査請求人は、匿名組合からの最終分配金額は非経常的利益であるから、評価会社の1株当たりの年利益金額の計算上控除すべきであるとして原処分の取消しを求めていたという事案だ。

 これに対して裁決は、評価通達の考え方を解釈した上で、匿名組合から分配を受ける損益は、匿名組合契約が継続する限り毎期発生することが予定されており、臨時偶発的に発生するものではないことから、1株当たりの年利益金額の計算上、匿名組合契約に係る損益の額を非経常的な損益として除外すべき利益とは認められないと指摘。

 というのも、匿名組合契約に基づく事業は航空機リース事業によるものであり、最終計算期間の分配金はそもそもリース物件の所有、賃貸及び売却が一体となった事業であるから一般的な固定資産の売却とは異なるため、航空機の売却は臨時偶発的なものとは言い難いからだ。その結果、その利益の一部を取り出して非経常的な利益と判断すべき理由は認められないと指摘して、審査請求を棄却している。

(国税不服審判所、2008.06.26裁決)