ASBJ、繰延税金資産の回収可能性ルールを見直しへ
カテゴリ:09.企業財務 トピック
作成日:11/22/2013  提供元:21C・TFフォーラム



 企業会計基準委員会(ASBJ、西川郁生委員長)が、繰延税金資産の回収可能性ルールを見直す。11月20日開催の「第19回基準諮問会議」において、今後の新規テーマとして「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」(日本公認会計士協会・監査委員会報告第66号)の見直しがASBJに提言されることが決定したからだ。

 対象となる第66号は、会社の過去の業績等の状況を主な判断基準として会社を5タイプに分類、繰延税金資産の回収可能性を会計監査人が判断する場合の指針を示したもの。財務諸表を作成する会社においても事実上の作成指針となっている。平成11年11月に公表され、十数年経った現在でも、実務に大きな影響力を持つ。

 ただその間、税制改正により繰越欠損期間が5年→7年→9年と伸長されたことから、同措置に対応した見直しが産業界から求められていた。こうした動きを受けて、7月開催の第269回ASBJにおいて「繰延税金資産の回収可能性の会計処理に関する調査」を行うことが決定。ASBJの会計基準等と日本公認会計士協会の監査に関する実務指針の役割分担、現行の取扱いを変更した場合に生じる影響(財務諸表の作成実務や監査実務に与える影響など)、ガイダンスのあり方、国際会計基準(IFRS)の任意適用との関係が吟味されてきた。

 近く、ASBJでテーマとして正式に決まる運びだが、実際、どこをどこまで見直すかは微妙なところ。監査人からは慎重論を唱える声も強く、産業界が期待するほどの修正には至らないかもしれない。