戦略的「暦年贈与」に国税庁が“お墨付き”
カテゴリ:05.相続・贈与税 トピック
作成日:06/02/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 戦略的な生前贈与のあり方として暦年課税が見直される中、このほど国税庁のホームページにある照会事例が公表された。タイトルは「暦年贈与サポートサービスを利用した場合の相続税法24条の該当性について」。三井住友信託銀行が、同社の「暦年贈与サポート信託」による贈与について、相続税法24条の「定期金給付契約に関する権利」の贈与に当たるか否かを照会したものだ。

 相続税法24条は、定期金に関する権利の評価について定めたもの。定期金給付契約に基づいて定期的に金銭が支払われる場合、その契約時に「定期金給付契約に関する権利」の贈与があったものとみなされ、給付事由が発生しているものについては1)解約返戻金の額、2)定期金に代えて一時金を受け取ることができる場合はその一時金の額、3)予定利率の額−のいずれか多い金額で評価することとされている。

 毎年一定額を贈与する場合、基礎控除の110万円以内であれば贈与税はかからないが、例えば「10年間にわたり毎年100万円ずる贈与する」という当事者間の約束に基づいて贈与する場合は、その約束をした年に「10年間にわたり毎年100万円ずつの給付を受ける権利」の贈与を受けたものとみなされ、同24条に基づいて評価されることになる。

 同社の「暦年贈与サポート信託」は、暦年課税を利用した贈与手続きをサポートするものだ。贈与契約書に基づき、贈与者の普通預金口座からあらかじめ指定した受贈者の普通預金口座に贈与金額を入金するサービスで、贈与者が、贈与の都度、相手や贈与金額を決定し、贈与契約を締結するのが特徴。こうすることで同24条の「定期金」の該当性をなくし、暦年課税に寄せていくことができる。

 同社は国税庁に対し、「本件サービスに基づき行われる贈与については、各年に締結される贈与契約の内容に基づき、各年の贈与として贈与税の課税が行われることとなるものと解するのが相当であり、あらかじめ定期的に贈与することについて贈与者・受贈者双方の合意がなされている場合でない限り、本件サービスを利用した贈与は、『定期金給付契約に関する権利』の贈与に該当するものではない」とし、この判断の是非を照会。これに対し国税庁は、照会の事実関係を前提とする限り同社の見解通りで差し支えないと回答している。

 これにより本サービスに基づく贈与は、直ちに同24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」の贈与には該当しないとの“お墨付き”を得たことになる。