地方拠点強化税制の「移転型」の適用要件を緩和
カテゴリ:15.税制改正 トピック
作成日:03/17/2017  提供元:21C・TFフォーラム



 平成29年度税制改正では、地方にある本社機能の拡充(拡充型)や、東京23区に本社のある企業が地方に本社を移転(移転型)した場合に税制優遇措置が適用される地方拠点強化税制を拡充し、1)オフィス減税の特例措置の現行水準の延長、2)雇用促進税制の支援の強化、3)移転型の要件緩和、をする。

 このうち、移転型の要件緩和は、地域再生法施行規則の一部を改正する内閣府令により行うもので、移転型の適用を受けるための、「特定業務施設の増加従業員の過半数が特定集中地域(東京23区)にある移転元の本社機能からの転勤者であること」との要件を、特定集中地域の従業員減少分を上限として、特定業務施設の新規雇用者の一部を東京23区にある移転元の本社機能からの転勤者とみなすこと、に改める。

 特定業務施設とは本社機能のある地方事業所のこと。これにより、地方事業所の新規雇用者のうち、東京23区から地方事業所への転勤者が実際にいなくても、たとえば、定年退職や自己都合で退職した従業員数減少分までは転勤者とみなされることになる。内閣府令の施行予定は本年4月1日。

 地方拠点強化税制の適用には、拡充・移転先の都道府県知事から地方活力向上地域特定業務施設整備計画の認定を受けることが必要で、新・増設した地方事業所業務施設の特別償却又は税額控除の適用が受けられる「オフィス減税」と、地方事業所の増加従業員数に応じて税額控除の適用が受けられる「雇用促進税制」の2つの税制優遇措置があり、両制度とも拡充型より移転型を優遇している。

 オフィス減税のうち、税額控除(拡充型:4%、移転型:7%)については計画認定の年度が29年度の場合、拡充型が2%、移転型が4%と下がることから、改正により、現行水準まで引き上げる。雇用促進税制の税額控除制度については、新規雇用が無期・フルタイム社員の場合は拡充型、移転型ともに現行に10万円を上乗せする。一方、新規の非正規社員の比率が全国平均(40%)を超える場合、超過した非正規社員の税額控除額は10万円減額する。