国外財産課税の「5年ルール」を見直し
カテゴリ:05.相続・贈与税, 15.税制改正 トピック
作成日:12/22/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 国外財産にかかる納税義務の「5年ルール」が見直されることになった。現行法では、被相続人及び相続人(贈与者および受贈者)の国外での居住期間が5年を超えると、国外にある財産について日本の相続税や贈与税は課税されない(5年ルール)。

 近年、この取扱いを利用して、日本より税金の低い国に財産を移した上で外国に5年超居住し、相続税や贈与税を逃れよとする動きが目立つようになった。そこで今回、この5年ルールを見直し、国外財産に日本の相続税や贈与税が課税されない国外居住期間を「10年超」とすることになった。これは、平成29年度の与党税制改正大綱に盛り込まれたもの。

 改正では、被相続人及び相続人(贈与者および受贈者)が、「出入国管理及び難民認定法別表第 1の在留資格」により一時的滞在している場合等には、国内財産のみが課税対象とされる。ここでいう「出入国管理及び難民認定法別表第1の在留資格」には、いわゆる就業ビザが含まれるため、一時的に日本に滞在する外国人駐在員等の多くは対象になる。また「一時的滞在」とは国内に住所のある期間が相続(贈与)開始前15年以内で合計10年以下の滞在をいう。

 転勤などの理由で一時的に日本に居住している外国人の場合、国内財産だけでなく国外財産についても日本の税金が課税されることとされているため、高度なスキルを持つ外国人技術者等の来日を阻害する要因になっていると指摘されてきたが、「10年ルール」の登場によりこうした問題も解消されるものと期待されている。

 この改正は、平成29年4月1日以後の相続・贈与により取得する財産にかかる相続税・贈与税から適用となる。