少額配当所得での個人住民税は申告が必要!?
カテゴリ:06.地方税 トピック
作成日:02/18/2004  提供元:21C・TFフォーラム



 平成15年度税制改正で年間10万円以下の少額配当に係る非課税措置が廃止されたが、それに伴い、それまで非課税だった個人住民税の申告が必要となっている。個人住民税の取扱いは、15年4月以降支払を受けた上場株式の配当については大口のものを除き非課税となったが、15年1~3月に支払われた上場株式の少額配当と昨年中に非上場株式の少額配当を受けた人は個人住民税の申告が必要だとしている。

 総務省では、個人住民税は所得税において確定申告をしないことを選択した少額配当についても他の所得と総合して課税されるので、確定申告書第二表の「住民税に関する事項」への必要事項の記載が必要だとしている。また、課税関係が年末調整で終了してしまう一般のサラリーマンなど確定申告をする必要がない人も、個人住民税の申告は必要だと注意を促している。

 ところで、これまで少額配当に対する個人住民税が非課税だったのは、所得税が源泉徴収で済んでしまうため、市町村では誰が配当を受けたか把握しようがなかったからだ。その状況は現在も変わらない。申告しなかった人を完全に把握することはできないのだ。

 所得税の申告をする人ならついでに住民税の申告もできるが、所得税の申告が必要ない人はわざわざ市役所や区役所に足を運ばなければならない。どんなに少額でも申告義務があるのだが、そのための手間と時間を考えると納税者は申告するだろうか。それどころか、今回申告が必要になったことをどれぐらいの納税者が知っているのかはなはだ疑問だ。

 このように考えてくると、一部の正直者だけが頼りのおかしな制度といえそうだ。厳しい財政事情は分かるが、不公平が目に見えている税制は見直すことが必要ではないだろうか。