年金受給者の申告不要制度、還付には確定申告が必要
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:01/23/2017  提供元:21C・TFフォーラム



 平成28年分の所得税等の確定申告が近付いているが、確定申告は、1年間に生じた全ての所得とそれに対する所得税等の金額を計算し、申告期限までに確定申告書を提出して、源泉徴収された税金や予定納税で納めた税金などとの過不足を精算する手続きだ。年金受給者についても、公的年金等は「雑所得」として課税対象であり、一定金額以上を受給するときには所得税等が源泉徴収されているので、確定申告を行う必要がある。

 ただし、平成23年分の所得税等から、年金受給者の確定申告手続きに伴う負担を減らすため、公的年金等に係る「確定申告不要制度」が設けられている。同制度の対象者は、1)公的年金等の収入金額の合計額が400万円以下であり、かつ、その公的年金等の全部が源泉徴収の対象となる、2)公的年金等に係る雑所得以外の所得金額(給与所得や生命保険の満期返戻金など)が20万円以下、のいずれにも該当する人だ。

 原則では、公的年金等でも、65歳未満で108万円、65歳以上で158万円を超える額を受給している場合には、所得税等が課せられる。公的年金等の支払者には源泉徴収義務があるため、その年、最初に公的年金等の支払を受ける前日までに、公的年金等の支払者に「公的年金等の受給者の扶養親族等申告書」を提出することで、基礎的控除と扶養控除等の人的控除を適用して計算した税額が源泉徴収される。

 しかし、年の途中で扶養親族等の人数が増減したり、生命保険料控除等の適用を受けたりする場合、源泉徴収税額と実際に納める税額に差額が生じる。公的年金等には年末調整制度がないため、受給者自身が確定申告でその差額を精算する必要があるわけだが、確定申告不要制度の要件に該当するのであれば、たとえ納めるべき税額が不足していたとしても、課税関係は源泉徴収のみで終了し、不足額を収める必要がない。

 一方で、マイホームを住宅ローンで取得した場合や一定額以上の医療費を支払った場合などは、所得税の還付が受けられる可能性があるので、還付を受けるためには確定申告書を提出する必要がある。また、公的年金等に係る雑所得のみがある人で、「公的年金等の源泉徴収票」に記載されている控除以外の各種控除(生命保険料控除など)の適用を受ける場合や、公的年金等に係る雑所得以外の所得がある場合は、住民税の申告が必要な場合がある。