大相撲の優勝賞金は一時所得、懸賞金は事業所得
カテゴリ:02.所得税 トピック
作成日:08/03/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 大相撲名古屋場所は、新大関の照ノ富士や復活した横綱・鶴竜などの活躍が期待されたが、結局のところ、横綱・白鵬の35回目の優勝で幕を閉じた。ところで、優勝した力士には賞金が贈られる。幕内が1000万円、十両が200万円、幕下が50万円、三段目が30万円、序二段が20万円、序の口が10万円のほか、三賞は殊勲・敢闘・技能ともに200万円だ。

 税務上、これらの賞金については一時所得として課税される。ご存知のように、一時所得の金額は「収入金額-収入を得るために支出した費用-特別控除額」で計算し、総所得金額を計算する場合は、その2分の1に相当する金額が他の所得と総合される。特別控除額は50万円だから、幕下以下の力士は課税されない。幕下以下の力士は給料がなく、生活の面倒は部屋の親方が見ているので、それぐらいの優遇は仕方がないところか。

 十両以上の力士は日本相撲協会から月給をもらっている。横綱は282万円、大関は234万7000円、三役は169万3000円、幕内は130万9000円、十両は103万6000円と、その地位に応じて5段階の金額だ。もちろんこれらの所得は給与所得となる。「十両」の呼称は、江戸時代の幕下二段目の上位10枚目までの力士の給料が「十両」だったことに由来するという。幕下二段目とは、現在の十両から幕下に相当する地位を指す。

 力士は当たり前ながら強くなければお金は稼げない。人気力士の取組みにはスポンサーから1本6万2000円の懸賞金が懸けられるが、うち5300円が協会の事務経費、2万6700円が税金支払のため協会が積み立て、残りの3万円を勝った力士が土俵上で受け取る。この懸賞金は事業所得として課税される。ちなみに、今年の初場所の結びの一番(白鵬対鶴竜)では史上最多の61本(通常は上限50本だが特例)の懸賞が懸けられている。