国際的課税逃れを「第三国」が仲裁
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:06/18/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 国際的租税回避への包囲網が狭まってきた。さきごろドイツ南部のエルマウで開かれた先進7ヵ国首脳会談(G7サミット)では、「公正かつ現代的な国際課税システムの達成」に向けた取組みを盛り込んだ首脳宣言が採択された。これは、多国籍企業による租税回避を防止するための手段としてOECDが示す「税源浸食・利益移転(BEPS)」行動計画の効果的な実施に強く働きかけるもの。

 BEPS行動計画では、多国籍企業による租税回避を防止するための手段として、電子商取引課税、租税条約濫用の防止、恒久的施設認定の人為的回避の防止、移転価格税制、相互協議の効果的実施など15項目の方策が盛り込まれている。PE(恒久的施設)を伴わない電子商取引への課税強化や、無形資産の譲渡に伴う低税率国への所得移転、二国間の課税権をめぐる紛争などに対応した新たな国際課税のルール策定を目指すもので、各項目ごとに策定の期限が設けられているのが特徴。

 このうち相互協議の効果的実施については、今年9月に策定期限が置かれている。二国間の課税権をめぐる紛争は租税条約に基づく「相互協議」によって解決するのが一般的だが、両国が一歩も引かずに協議が長期化することが多く、課税逃れを許す温床にもなっている。そこでBEPS行動計画では、多国籍企業の課税逃れを巡る2国間の紛争に対し、利害がない第三国が仲裁する制度づくりを目指す方針が明記されている。

 今回、G7の首脳宣言にBEPS行動計画への猛プッシュが盛り込まれたことで、早期解決に期待が高まる。