米国アマゾン関連会社への追徴課税で恒久的施設判定に注目
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:07/23/2009  提供元:21C・TFフォーラム



 米国インターネット通販大手アマゾン・ドット・コムの関連会社が東京国税局から140億円前後の追徴課税処分を受けていたという一般報道を受け、国際取引を行う企業の間で、外国法人への課税の足がかりとなる恒久的施設(PE)の判定基準が注目されている。

 アマゾン・ドット・コム・インターナショナル・セールス社は、日本国内に支店を置かずに日本顧客との売買契約を直接結び、米国で売上げを上げる一方、販売業務や物流業務は日本にあるアマゾン・ジャパン・ロジスティクス社等に委託して手数料を支払っていた。東京国税局は、これらの日本法人が、セールス社のPEとしての機能を果たしているとし、日本顧客への販売に関する所得を日本での事業所得と認定した。

 PEとは、支店、出張所その他の事業所、工場、倉庫(倉庫業者がその事業の用に供するものに限る)など。日本国内にPEを持たない外国法人は日本に申告・納税をする必要がないが、PEを持っている場合にはすべての国内源泉所得が課税対象となる。

 ロジ社は千葉県に流通センターを持ち、仕入れた書籍などを置いていた。単なる倉庫であればPEには当たらないが、国税局は、1)関連会社側のパソコンや機器類がセンター内に持ち込まれ使用されていた、2)センター内の配置換えなどに米側の許可が必要だった、3)同じ場所に本店を置くロジ社の社員がセールス社からメールなどで指示を受けていた、4)物流業務以外に委託されていない米側業務の一部を担っていた――などを問題視。センター内にPEが存在するとして追徴課税に踏み切っている。

 PEをめぐっては、日本企業が海外現地法人に社員を出向させて営業活動を行っているとして、海外現地法人が日本企業のPEと認定された事例もあり注意が促されるところ。また、支店等がないにもかかわらず「認定」によって課税されたことについては他への影響を懸念する向きもある。

 アマゾン側は国税局の指摘を不服として二国間協議を申請しており、現在両国間で協議中だという。今後の展開に注目が集まる。