EU11ヵ国「金融取引税」を先行導入
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:10/25/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 金融取引税がいよいよ動き出す。さきごろ開かれた欧州連合(EU)財務省理事会で、株式や債券またはデリバティブ商品を取引する際に課税する「金融取引税」を、EU加盟27ヵ国中の半数近い国で先行導入することが明らかになった。導入を表明したのは、フランス、ドイツ、イタリア、ベルギー、スペイン、オーストリア、ポルトガル、ギリシャ、スロバキア、スロベニア、エストニアの11ヵ国。

 金融取引税は、金融取引に広く課税することで、参加国全体の財源を増やし、さらには行き過ぎた投機の抑制に期待が寄せられている。これまでフランスやドイツがEU全体での導入を目指し働きかけてきたが、イギリスやオランダが投機の規制に踏み出せないでいるため、まずは11ヵ国の先行導入となった。

 日本の金融機関も、導入した国の金融機関と取引をした場合は課税対象となる。EUのこうした投機抑制の流れにアメリカは明確に反対の立場を示しており、日本もこれに同調する姿勢を見せている。一方、日本国内では、外国為替取引や国際便航空券に課税することで貧困や地球温暖化対策への原資とする「国際連帯税」の導入を求める動きが活発になってきている。

 国際通貨基金・世界銀行年次総会が東京で開催されたのを機に、今月11日には東京・渋谷区の青山学院大学で国際シンポジウムが開かれ、フィンランドのハウタラ国際開発大臣やフランス外務省グローバル化局のシャテニエ副局長をはじめ世界各国から230人が参加。国際連帯税導入に向けての討論が行われた。