平成23事務年度の相互協議事案は143件発生
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:10/15/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁は、移転価格課税等により国際的な二重課税が生じた場合、外国税務当局との相互協議を実施して問題の解決を図り、また、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、事前確認に係る相互協議を実施している。国税庁が11日に発表した平成23事務年度の相互協議の状況によると、今年6月までの1年間に143件の相互協議事案が発生し、うち事前確認に係るものは112件と、全体の発生件数の約80%を占めている。

 前事務年度と比較すると、相互協議事案の発生件数は14件、事前確認に係る相互協議件数は23件ともに減少しているが、これを10年前の平成13事務年度と比較すると、相互協議件数で1.6倍、事前確認に係る相互協議件数で2.7倍となっており、増加傾向にある。ただし、この2年間は、主に事前確認の減少により発生件数は全体として減少している。

 一方、平成23事務年度に相互協議が終了した処理件数は、前年度より7件少ない157件、事前確認に係る相互協議の処理件数は同7件多い135件となり、全体の処理件数は過去最多だった前年度よりやや減少するも、事前確認に係る相互協議の処理件数は過去最多となった。事案の処理に係る期間は、1件当たり25.1ヵ月。そのうち、事前確認に係る相互協議事案の処理に係る期間は、同様に1件当たり23.6ヵ月となっている。

 処理件数157件を業種別にみると、「製造業」が87件(構成比55.4%)、「卸売・小売業」が43件(同27.4%)などだった。対象取引別の内訳をみると、「棚卸取引」が94件(同45.6%)、「役務提供取引」が61件(同29.6%)、「無形資産取引」が51件(同24.8%)。また、24年度に繰り越した件数は、前年度より14件少ない359件だった。

 処理事案の地域別内訳をみると、平成23事務年度の処理件数は、件数の多い順に、米国、豪州、英国となっている。相互協議の相手国の数は、18事務年度が25ヵ国、23事務年度が23ヵ国と、この数年はおおむね横ばいで推移している。なお、対OECD非加盟国における相互協議事案の発生件数は24件(前年比25%減)、処理件数11件(同54%減)、繰越件数95件(同16%増)となっている。

 「相互協議を伴う事前確認の状況」の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sogo_kyogi/index.htm