移転価格税制、地方税における納税猶予制度を要望
カテゴリ:07.国際税務, 14.各省庁関係 トピック
作成日:09/12/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 経済産業省は7日、移転価格税制研究会が取りまとめた中間報告書を公表し、地方税(法人住民税、事業税)における相互協議中の納税猶予制度の創設を求めた。納税猶予制度は、納税者からの申請に基づき、移転価格課税時から相互協議を経て納税額が確定するまでの間、わが国課税当局に支払うべき課税額について納税を猶予するもので、国税については、平成19年度税制改正において創設されている。

 中間報告書によると、移転価格税制の適用状況は、経済のグローバル化を背景とするわが国企業の海外事業展開の進展に伴い、近年、移転価格税制による更正処分件数及び金額が急増しており、ここ3年間(平成16年6月末~平成18年6月末)で、件数、金額それぞれについて1.9倍、2.6倍の増加となっている。

 こうしたなか、平成19年度税制改正において納税猶予制度の創設・移転価格事務運営要領の改正等が行われ、移転価格税制の大幅な改善が進んでいる。報告書は、特に、移転価格税制においては事務運営要領等の運用基準が事実上の課税ルールとなっており、移転価格税制における企業と課税当局との見解の相違のほとんどが独立企業間価格の算定を巡るものであったことからすれば、移転価格事務運営要領の改善は、意義のある成果だと評価している。

 研究会は、国外関連者要件の適正化やシークレット・コンバラブル適用の適正化など、その他の課題については、その多くが移転価格税制の根幹に関わる非常に重要な問題であることから、今後ともそのあり方について関係者間で意見交換を行いながら、引き続き改善に向けた検討が必要との考えを示した。また、喫緊の課題と思われる事項については早急な措置が必要として、地方税における相互協議中の納税猶予制度の創設を例示した。

 ちなみに、シークレット・コンパラブルとは、移転価格税制に基づく調査や更正処分に当たって、法人に独立企業間価格を算定するために必要な帳簿書類等の提示・提出を求めた場合に、法人がこれらを遅滞なく提示・提出しなかったときに、課税当局が同業者に対する質問検査を通じて、収集した非公開情報に基づく比較対象取引をいう。

 同中間報告書の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070907002/itenkakaku-hontai.pdf