中国の外資優遇税制の見直しは日系企業の営業利益に影響大
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:02/25/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 ジェトロ(日本貿易振興機構)が昨年10月下旬から12月上旬にかけて実施した「在アジア日系企業の経営実態調査」結果によると、中国が打ち出した企業所得税(法人税)の統一が営業利益に与える影響(有効回答数316社)については、「大きなマイナス」とする企業が34.5%、「若干のマイナス」が40.8%と、7割を超える企業がマイナスの影響を懸念していることが明らかになった。

 業種別にみると、現在優遇されている度合いが高いと考えられる業種ほど「大きなマイナス」になると回答しており、「電気・電子部品」の45.0%をはじめ、「一般機械」(39.1%)、「衣服・繊維製品」(36.7%)などが「大きなマイナス」との回答割合が高い。対して「金属製品」は14.3%と、トップの「電気・電子部品」とは約30ポイントの開きがある。

 中国は、外資企業誘致のための優遇税制である企業所得税の2年免税・3年減税措置を見直し、内外企業の税率を今年から5年かけて原則25%に統一する方針だ。2免3減制度とは、本来の法人税率33%を、外資系企業の場合、利益が発生してから最初の2年間は税率ゼロ、その後3年間は税率が半分(16.5%)になる制度だ。ほとんどの地方自治体は最初から地方税分の3%を完全に免除しており、実際に外資系企業が納める法人税は15%だった。

 こうした外資優遇に対して、中国内の地場企業は、優遇措置が一切適用されず、一律33%の法人税が課税されることから、外資系企業と地場企業の競争は不公平との不満の声が高まっていた。そこで、中国政府は、企業所得税を見直し、内外企業の税率統一を図るわけだ。

 外資系企業の場合、08年18%、09年20%、10年22%、11年24%、12年25%と順次引き上げ、反対に地場企業の法人税率は、現行の33%から5年間をかけて8ポイント下げ、最終的に内外企業の法人税率が25%に統一される。このように、5年間は移行措置が設けられるが、2013年1月以降は原則2免3減制度が撤廃され、外資系企業の企業業績に相当な影響を与えることが懸念されている。

 ジェトロの経営実態調査の詳細は↓
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20080221147-news/tenpu1.pdf