相互協議に伴う事前確認件数が過去最高
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:10/09/2008  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁が公表した平成19事務年度の「相互協議を伴う事前確認の状況(APAレポート)」によると、19年7月から1年間に行われた相互協議の申立て及び相手国税務当局からの相互協議の申入れ件数は、153件と過去最高だった前事業年度より1件少ないものの高水準で推移している。

 このうち9割以上を移転価格に関するものが占めるとともに、事前確認によるものが約7割の113件と過去最高を記録、10年前と比べると相互協議全体で約3倍、事前確認に係る相互協議件数で約5倍に増えていて、企業が制度を積極的に利用していることが伺える。

 一方、相互協議を終了した処理件数は処理の迅速化により過去最高の125件に達し、このうち日本企業が海外子会社等との間の取引において採用する独立企業間価格の算定方法などについて国税当局に確認を行う事前確認(APA)の処理件数82件となっている。

 合意事案82件の業種別内訳は、自動車関連の輸送用機械器具製造業などが中心の「製造業」が52件、総合商社などの貿易業が中心の「卸・小売業」が23件、サービス業などの「その他」が7件、また対象取引別内訳では、棚卸取引が67件、ロイヤリティなどの役務提供取引が26件、製造技術や製造ノウハウといった無形資産取引が28件、地域別では米国、豪州に次いでシンガポールが3位となっている。

 この結果、次事業年度に繰り越された事案は304 件と300件台を超えたが、当局ではこの7月から国税庁に事前確認を主に担当する国際企画官の増設や大阪国税局に事前確認を専担する国際情報第二課の設置などの体制強化を図り、処理の促進を図っている。