移転価格税制に係る文書化制度に関する改正を紹介
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:05/11/2016  提供元:21C・TFフォーラム



 OECDのBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの勧告(行動13「多国籍企業情報の文書化」)を踏まえ、平成28年度税制改正により、租税特別措置法の一部が改正され、移転価格税制に係る文書化制度が整備された。そこで、国税庁は、移転価格税制に係る文書化制度に関する改正内容のうち、1)多国籍企業グループが作成する文書及び2)国外関連取引を行った法人が作成する文書、の主要2項目をパンフレットで紹介している。

 多国籍企業グループが作成する文書については、直前会計年度の連結総収入金額1000億円以上の多国籍企業グループ(特定多国籍企業グループ)の構成会社等である内国法人及び恒久的施設を有する外国法人は、最終親会社等届出事項、国別報告事項及び事業概況報告事項を国税電子申告・納税システム(e-Tax)で国税当局に提供しなければならないこととされた。パンフレットでは、提供義務及び提供義務者をフローで確認できる。

 提供義務のフローでは、「所属する企業集団は企業グループに該当するか」→「所属する企業グループは多国籍企業グループン該当するか」→「所属する多国籍企業グループは特定多国籍企業グループン該当するか」→「自社は構成会社等に該当するか」の設問に従って回答し、すべてに該当する場合は提供義務がある。この改正は、平成28年4月1日以後に開始する最終親会計年度に係る次の報告(届出)事項について適用される。

 一方、2)の国外関連取引を行った法人が作成する文書については、一の国外関連者との取引について、ア.国外関連取引の合計金額(前事業年度)が50億円以上又はイ.無形資産取引の合計金額(前事業年度)が3億円以上である法人は、当該国外関連取引に係る独立企業間価格を算定するために必要と認められる書類を確定申告書の提出期限までに作成又は取得し、保存しなければならない(いわゆる「同時文書化義務」)こととされた。

 上記の「国外関連取引」とは、法人が国外関連者との間で行う資産の販売、資産の購入、役務の提供その他の取引をいう。また、前事業年度がない場合には当該事業年度となる。「無形資産取引」とは、特許権、実用新案権などの無形固定資産その他無形資産の譲渡又は貸付け等をいう。この改正は、平成29年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用される。

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