日仏租税条約の改正議定書署名される
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:01/16/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省では、1月12日に日仏租税条約(所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国政府とフランス共和国政府との間の条約)を改正する議定書の署名が行われたことを明らかにした。同条約については、発効後約10年の期間が経過していることに加えて一昨年2月に日仏社会保障協定が署名されるなどの社会経済情勢の変化等を踏まえ、両国間の投資交流促進のため昨年の1月に正式交渉を開始、7月に両国政府間で議定書による条約の部分改正について基本合意に達していた。

 改正議定書の内容は、投資所得(配当、利子及び使用料(著作権、特許権等))の支払に対する源泉地国課税の軽減、租税回避の防止のための措置など。具体的には、配当所得について、1)配当に対する限度税率を15%から10%に引下げ、2)親子間配当(直間10%以上の株式保有)については5%の限度税率を適用するとともに、一定の親子間配当については源泉地国免税、利子所得については、一定の金融機関等が受け取る利子所得について従来の限度税率10%を源泉地国免税にされた。

 また、条約乱用のため、日仏以外の第三国に居住する者が、条約の特典を受けるためにいずれか一方の条約国にペーパーカンパニーを設立し、このペーパーカンパニーを介して一定の取引を行うことまたはペーパーカンパニーを介した取引を行う主たる目的が条約特典を受けることである場合には、この取引について条約特典を否認することとされている。

 改正議定書は、両国において国内法の手続きに従って承認された後、両締約国の国内手続が終了したことを他方の締約国に通告し、遅い方の通告が他方の締約国によって受領された月の翌々月の初日に効力が生じる。改正議定書が本年中に発効された場合には、わが国においては、源泉徴収される租税に関しては来年1月1日以後に租税を課される額、源泉徴収されない所得に対する租税に関しては、来年1月1日以後に開始する各課税年度の所得、その他の租税に関しては、来年1月1日以後に開始する各課税年度の租税に、適用される。