国税庁、移転価格税制のトラブル解消に一案
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:05/21/2012  提供元:21C・TFフォーラム



 国税庁はこのほど、移転価格税制に絡むトラブルを未然に防ぐためのチェックシートを作成した。移転価格税制は、海外の関連企業との取引を通じた所得の海外移転を防止するため、海外の関連企業との取引が、通常の取引価格(独立企業間価格)で行われたものとみなして所得を計算し、課税する制度。大企業が指摘を受けるケースが多いが、経済の国際化に伴い最近では中小企業も射程範囲に入ってきた。

 移転価格税制では独立企業間価格の算定をめぐり国税当局と企業の間でトラブルになるケースが多く、訴訟にまで発展した場合、敗訴した側は極めて大きなリスクを負うことになる。

 国税庁では、こうした双方のリスクを解消し、適正な課税の実現を図るためには、企業と税務当局が協力して企業の自発的かつ適正な対応を促進する必要があると判断。その取組みの一環として、このほど企業が移転価格税制の適用を受ける危険度を自己診断できるチェックシートを作成した。

 チェックシートは全部で31項目。移転価格税制についての認識や、トップマネジメントの関与、外国関連取引の実態・問題点の把握、移転価格算定手法を念頭に置いた取引価格設定、海外の関連法人にける移転価格対応――などに関する確認事項が盛り込まれている。各国税局が今年4月以降配布しており、国税庁では移転価格問題解消に一役買えればとチェックシートの利用促進に期待をかけている。