租税条約に基づく情報交換手続の事務運営指針を改正
カテゴリ:07.国際税務, 15.税制改正 トピック
作成日:05/23/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 平成18年度税制改正では、脱税等の犯則事件調査のための国際協力の強化を盛り込んだ租税条約実施特例法の一部が改正され、租税条約上の情報交換規定に基づく情報収集手段として条約相手国から犯則事件の調査に必要な情報提供の要請があった場合に、我が国にも課税利益がある場合のみだった情報収集の調査が、1)我が国に課税利益がない場合でも任意調査が行えること、2)司法審査を経た上で強制調査を行うことができることなどに改められた。

 国税庁はこのほど、これに伴う事務手続を整備するとともに相手国との情報交換の一層の迅速化、効率化を促進するために一部改正した事務運営指針「租税条約に基づく相手国との情報交換手続について」(官際1-22ほか共同、平成18年4月6日)を公表した。

 主な改正としては、『二 個別適用を受けた情報交換に係る事務手続』に明記されている「相手国への情報提供要請」及び「相手国からの情報提供要請」について見直しが行われており、相手国への情報提供要請を行うに当たっては、国内において入手することが困難な情報に限定することとされたほか、局(署)管理者が窓口となる国税庁国際業務課に情報提供の要請を行う前に事前相談が出来ることとされている。

 また、相手国への情報提供要請に関しては、情報提供のための質問検査権の行使の適否の検討で、租税条約上の情報提供義務があると判断した要請について、さらに質問検査権の不行使事由のいずれかに該当するか否かを検討することとされているが、その項目の「その要請が刑事事件の捜査」の後に「その他その相手国の租税に関する法令を執行する当局が行う犯則事件の調査」を加えるとともに、さらに詳細を規定している。