相互協議事案発生件数187件のうち8割が事前確認
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:10/29/2015  提供元:21C・TFフォーラム



 移転価格課税等により国際的な二重課税が生じた場合、外国税務当局との相互協議を実施して問題の解決を図り、また、納税者の予測可能性を高め、移転価格税制の適正・円滑な執行を図る観点から、国税庁では事前確認に係る相互協議を実施しているが、平成26事務年度の相互協議の状況によると、今年6月までの1年間に187件の相互協議事案が発生し、このうち事前確認に係るものは149件と、全体の発生件数の約80%を占めている。

 前事務年度と比較すると、相互協議事案の発生件数は10件、事前確認に係る相互協議件数は3件ともに減って平成23事務年度以来の減少となったものの、過去最高だった前事務年度に次ぐ数字と件数的には依然として高くなっている。発生件数187件の種別をみると、事前確認の149件のほか、30件が「移転価格税制」、恒久的施設(PE)に関する事案や源泉所得税に関する事案などの「その他」が6件。

 一方、平成26事務年度に相互協議が終了した処理件数は141件、事前確認に係る相互協議の処理件数は121件で、発生件数同様に過去最多だった前事務年度に比べてそれぞれ33、20件も減少している。処理事案1件当たりの平均的な要期間は22.4ヵ月で、事前確認に係る相互協議事案の処理に絞ってみると1件当たり22.2ヵ月だった。

 処理件数141件を業種別にみると、「製造業」が88件(構成比62.4%)、「卸売・小売業」が40件(同28.4%)など、また対象取引別の内訳をみると、「棚卸取引」が100件(同47.4%)、「役務提供取引」が74件(同35.1%)、「無形資産取引」が37件(同17.5%)となっている。

 処理件数の大幅減少もあり26年度の繰越件数は、425件と前事務年度より46件増加した。なお、繰越事案の多い相手国を見ると、アメリカ、中国、韓国、インドの順だった。

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