課税強化されつつある中国・個人所得税
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:06/05/2006  提供元:21C・TFフォーラム



 中国の個人所得税が課税強化されつつある。中国へ進出している日系企業は、こうした流れに留意する必要があろう。ジェトロ(日本貿易振興機構)が発表した現地レポート(「中国・個人所得税に関する最近の動向」)によると、今年1月に「外国籍人員個人所得税ファイル資料の管理通知」が発行された。

 同管理通知は、2006年6月末までに地方税務局は、雇用者管理台帳を基に中国で業務を行う外国籍人員一人ひとりの納税ファイルを作成し、7月31日前に国家税務総局(国際税務司)へ状況を報告することを義務付けている。

 また、今年1月1日より施行された「個人所得税全員全額源泉徴収申告管理の暫定弁法」では、源泉徴収義務者は課税対象となる所得を個人に支払う際に、その個人の所属及びその支払額が課税水準に達するか否かにかかわらず、管理台帳を作成し、税務機関への報告が必要であるとされた。

 これらの中国における個人所得税課税強化の動きは2004年3月5日に発行された「外国籍人員の個人所得税徴収管理強化に関する通知」に端を発している。この通達を受けて、多くの会社が自らの申告計算を見直し、必要に応じて修正申告を行った。翌2005年1月には「2005年特別税務調査実施に関する通知」が発行され、国家税務総局が指定した9重点検査項目の1つに個人所得税が挙げられ、課税強化の傾向が顕著になった。

 これまでの個人所得税法を再整理するように中華人民共和国個人所得税法が見直され、さらに中華人民共和国税収徴収管理法を基に「個人所得税管理弁法」が制定され、2005年10月1日から施行された。

 同法では、納税者個人と源泉徴収義務者それぞれが基本データのほか、個人所得税の申告状況等を含む情報ファイルを作成して管理することを規定し、納税者と源泉徴収義務者双方が税務機関に申告を行い、かつ税務機関はそれらを照合して相違がある場合は修正申告を要求するとしている。

 レポートは、こうした中国税務機関の個人所得税に対する徴収管理の一層の強化と質の向上に向けた動きが当分続くものとみている。