日・豪新租税条約締結交渉が基本合意
カテゴリ:07.国際税務 トピック
作成日:08/07/2007  提供元:21C・TFフォーラム



 財務省は8月3日、日本とオーストラリアの両国間で締結している「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリア連邦との間の協定」に代わる新条約の締結について両国政府が基本合意したことを明らかにした。

 今回の改正は、1970年に発効して以来改正が行われていない現行の協定(条約)について、両国間の現在の経済関係を十分に反映していないとの認識の下に本年1月から数次の交渉が行われてきたもので、OECDモデル条約を基本としつつ、日・豪企業が相手国で行う知的財産の貸借、出資及び資金調達に係るコストを軽減し、投資交流を促進することを目的としたもの。

 基本合意された新条約の具体的な内容をみると、配当所得に対する源泉地国課税の引下げとして、持株割合80%以上を出資する子会社を相手国に設立している場合、子会社が親会社に支払う配当には現行で15%の税率が課税されているが、これを免税(持株割合10%以上では5%の軽減税率)とする。

 また、投資や相手国企業への貸付けによる利子所得についても、金融機関や政府機関などが受け取る利子に限り、業務の特殊性を考慮し免税(現行10%)とするとともに、特許などの使用料に対する課税も5%(同10%)に引き下げる。移転価格の遡及更正可能期間について一定の期間に制限することなども盛り込まれている。

 今後は、両国政府部内における必要な手続きを経た上で署名が行われ、両国議会で承認を得た上で新条約が発効されるが、発効は来年になる見通しだ。